生長・成長 同音異義語

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

同音異義語の「生長」と「成長」。

同音異義語を国語で学習した生徒は「植物が伸びるのは生長」、「動物の体が大きくなるのを成長」と覚えていることが多いようです。まったく覚えていない子もいますが。

が、これ、今は微妙なんですよね。理科の教科書を見ていただくとわかると思うのですが……、理科の教科書では「成長」で統一されているのです。これは理科の用語が『文部省学術用語集』に則して表記されているからなのですね。『文部省学術用語集』では動植物ともに広い意味で使われる「成長」で統一されているのです。

すると、この同音異義語を国語のテストでだすのはちょっとまずくないかなということになります。どちらも間違いではありませんから、「植物が成長する」と答えても✕にする明確な根拠がない。専門家の間で決められていることですし。「植物が伸びて大きくなる」のを「生長」、「動物の体が育って大きくなる」のを「成長」と、どうしても厳密に分けたいという意図の文章で使うのは何の問題もないですが、国語の同音異義語のテスト問題としてこの書き分けをあえて出す必要はないかなと思うのです。もちろん、教材で「成長」と「生長」の書き分けを覚えるのはまったく問題ないと思います。一つの知識として覚えておいて損はない。ただ、試験では別解が出ないように作成するのが基本ですから、あえてこれを出す必要はないかなと思ってしまいます。ということで、教材制作十数年していますが、テストで「生長」と「成長」を問う問題は出したことはありません。

国語分野の知識でも社会科のように内容が更新されることがあります。定期的に行われる常用漢字の改訂、教育漢字の配当変更、誤用とされていた言葉がそうではないとされるなど、いろいろあります。そのほかにこの「生長」と「成長」のように他教科の状況もふまえないといけない場合もありますね。うさぎの数え方などもそうですね。「りすが二ひき、うさぎが五ひき」のように算数の問題では出されます。

入試問題・入試直前対策教材の作成が佳境に入るこの時期、国語特有の難しさを痛感しています。