気になっている素材文のテーマ 「昔話」ー対比と共通点に注意

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

ここ数年、出題校のレベルは様々ですが、関東・関西の中学入試問題で、「昔話」からの教訓についての文章をよく目にします。直近では2019の高槻中学A日程で出題。

使用しているレベルは様々、著者も異なりますが(一部は同じ)、昔話から伝えている教訓はまじめに正直に生きていれば幸せになれるわけではないですよ、というものになっています。

日本の昔話では、「いいひとが必ずしも幸運に恵まれるわけではない」「幸不幸はだれにでも平等に訪れる」。だから、「幸運が突如やってくるものであるという期待をもちつつも、現実の世界をしっかりと生きていくように」。これが昔話の教訓。

こうした切り口での話がよく出題されています。この文章を理解するポイントは、先入観を捨てること。思い込みを捨てること。正直に生きていればいいことがある、なんて思い込みを持って読むと、誤読します。思い込みがあると、人は自分の思い込みに合わせて新たに入ってきた情報を編集してしまいますから、捨てなければならない。これはどの文章を読むときにも言えますが。

そして、このテーマの文章の場合、「対比」をしっかり押さえることが重要。日本の昔話では、正直者と意地悪な者の両方が出てくる。この二者を対比しつつ、共通点を読み取ることがカギとなります。

関西統一入試日まで今日も含めてあと5日。

年末あたりからやたら目にする機会が多いので、なんとなく気になってこのテーマを取りあげてみましたが、昔話の話に限らず、二つの事柄を比べながら論じられている文章では、対比と共通点の両方を意識して読むようにしましょう。対比しながらも共通することがらに触れられている場合は、それが主題となっていることが多いものなのです。そして、対比に関する記述問題では、二者の対比が明確にわかるように答えをつくるようにしましょう。「~は…であるが、~は…である」というような形(「~」と「…」が対になるように)で答えることを意識しましょう。