できていないことを指摘するのも否定するのも簡単だから、見方を変えて…

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

「できていないことを指摘するのは簡単・否定するのも簡単」。模試の復習をする時期には必ずこの言葉を思い出すようにしています。できていないことは、すぐにわかるので指摘するのはらくなんです。でも、できていることを認めるのは、ひとりひとりをきちんと見ていないとできません。日頃の継続的な観察が不可欠です。

そして、「できていないところを指摘する・否定する」。これで生徒の心はゴリゴリに固まってしまいます。先生と生徒でもそうですが、親子になるとその影響はとても大きくなります。

はじめのうちは、自分はできないんだ・自分が悪いんだという思いでとどまっているのですが、次第に親への不信感と拒絶に変わる。こうなってしまうと本当に大変です。かつて、こういう状態になった生徒を何人も見てきました。成績が下がったら「なんでこんなこともできないんだ」と言われ、成績が上がっても「これくらいできて当たり前だ」「一回よかっただけでは意味がない」と言われ……。

親子関係はこじれにこじれ、収拾がつかなくなります。考えたらあたりまえですよね、自信をもてない状態で反抗期に入り、さらに否定されてしまったら拒絶反応を示しても何の不思議もありません。

学校で疲れて帰ってきて、塾で勉強してがんばっている。でも結果に表れないと否定され、表れても否定されたら子どもの居場所はなくなってしまいます。私自身、そういうことを親にされた時期がありました。「できてあたりまえ」。大人である親からしたらそうでしょう。「お母さんはできた」。初めのうちは「そうか」と思っていても、「私はお母さんとは違う人間なんだから」に変わる。親に対する信頼なんてゼロになります。

だからといって、むやみにほめればいいというわけではありません。もちろん個人差はありますが、子どもは冷静に自分のことを分析しているところがあります。やたらほめる人を「信用できない」という子もいます。根拠のないほめことばは溝を深めるだけです。ほめるならちゃんと根拠を示してほめることが大切です。そして、結果を評価するのではなく、まずはがんばっていることを認めてあげることです。「だらだらしている」「やる気がない」と思えても、学校に休まず通い、さらに塾の宿題をして授業を受けているだけでも十分がんばっています。中学受験は全員がしなければならないことではないのですから。

「ほんとにやる気がなくて」「宿題しかしなくて」。よく聞く言葉です。でも、いつもそういうわけではない。宿題しかしていないといっても、見方を変えたら、最低限すべき宿題はやっているということです。

「やる気がないのでだらだらしていると思います」と聞いた後で授業をすると、生徒から「この部分がわからないから、ここをやりたい」と言われる。そんな経験を何度もしています。

ちゃんと自分なりに考えている。できないところをできるようにしたい。やらないといけないけれどやる気がでない、まずい。わかっているけれど、一人ではできなくて進まない。ここだけを切り取ってみたら「やる気がない」ように見えてしまいます。

できていないことを指摘するのも、否定するのも簡単です。でも、少しだけ角度を変えてお子様を見ていただき、できていることを認めてあげる声かけをしていただけたらなと思います。

特に体力的にも精神的にも疲れやすい6月。夏前にだらだらしたらまずい! とあせる気持ちはわかりますが、それがずっと続くことはありません。大半の子は7月の模試が終わったあとから変わってきます。発破をかけるのは7月からでも遅くはありません。特に5年生は。