直前期だからこそすべきこと
記述問題で点が取れない。減点が異様に多い。この時期になるとかなりあせる人が増えてきます。
そんな人は基本に立ち返りましょう。今月下旬から始まる冬期講習では多くの塾で入試問題演習が中心となります。授業での解説がほとんどなく、解答と1行程度の解説が書かれたものを渡されて終わり、復習は宿題または自習時間にやりましょう! というところもあります。でも、ここに大きな落とし穴があります。
記述問題ができない生徒の場合、入試演習をやりすぎて、ただでさえ精度の低かった答えの質がさらに低下することがあるのです。問題をたくさん解けば精度が上がるわけではありません。解説を読めば、解説を聞けば精度が上がるとは限らないのが国語の記述問題です。
こんな悩みがある人は、以下の方法を試してください。
まず、設問文が何を聞いているのかをおさえましょう。
理由ですか? 内容ですか?
これによって文末表現が異なります。
設問を正しく理解できているか、これをしっかり確認しましょう。
次に解答の根拠となる部分に線を引きましょう。
範囲が広い場合は自分なりにわかるように印をつけましょう。
そして、その部分から使う言葉と使わない言葉を選んでいきます。
設問によっては言い換えが必要なこともありますし、まとめとなる言葉を使う必要があることもあります。直接本文にそういったことを書いていきましょう。
それから解答を作ります。
解答を作ったら、正答と自分の答えとの違いを徹底的に考えます。
正答にある言葉は本文のどこにあるのか、どの内容を言い換えているのか、これらをすべて確認していきます。
また自分が作った解答の主語と述語の対応がおかしくないか、誤字脱字がないか、文末表現は設問と対応しているか、本文の言葉を書き写し間違えていないかを確認しましょう。
解説がなく、考えてもわからない場合は塾の先生やお父さん、お母さんに聞いて理解するようにします。
(まずは自分で考えましょう!)
この一連の作業、時間がかかります。しかし、この作業を行うと、自分がどこで理解できていないのかがわかってきます。自分の弱点を直前期に浮き彫りにするこの作業が解答の精度を上げます。直前期のこの時期だからこそ、量より質にこだわりましょう。冬期講習は、弱点を徹底的につぶす最後のチャンスです。
私の授業ではこの作業を徹底します。特に小学4年生、5年生はとことんやります。もちろん、生徒の理解度に応じて開始時期を変えますが。ノートや記述問題解答作成用に作業シートを用いてとにかくやらせます。手を抜く子の場合は、保護者の方の了承を得たうえであえて一度痛い目を見てもらうようにすることもします。すると、生徒が自分で「これ、なんで間違えたかわかった! この言葉見落としてた!」と言えるようになります。
6年生なら、この作業で記述問題を得点源にできるように、可能なら今から弱点をつぶしましょう。4年生なら今から始めれば十分間に合います。5年生もこの作業を4月まで集中して行うことをおすすめします。
特に4、5年生の模試記述問題では内容を抽象化させる問題の出題率は高くありません。本文に即して設問にあった解答を作る力を見る問題が多いものです。しかし、これができないと抽象化するときにおかしな解答を作りますし、最悪まったく解けないということにもなります。基礎・基本=簡単ではありません。この部分が弱ければ、いくら知識やテクニックを積み上げても崩れ去ります。直前期でも基礎・基本に戻る勇気をもちましょう。それは、何も恥ずかしいことではないのです。