金蘭千里中学校新傾向問題ーリスニング

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

金蘭千里中学校は入学時の偏差値はそれほど高くはありませんが、入学後にしっかりと伸ばしていってくれる学校で根強い人気があります。。金蘭会学園は、学園創立100周年を越え、伝統ある学園でもありますが、新しい取り組みをどんどん進めていく学校でもあります。今回の新型コロナによる休校時、4月初めから通常授業と同様のカリキュラムによるオンライン授業を開始していました。兵庫では須磨学園が話題になっていましたが、金蘭千里中学校も迅速に対応されていました。そういった面でも注目校ではないかと思います。

その金蘭千里中学校の今年の入試では、新傾向の入試問題が出題されました。A入試国語では記述力・論述力を見る問題が出題されました。記述の指定字数の増加+図表の読み取り問題です。この種の問題は、来年度以降も注意が必要です。今年は小学校の学習指導要領が改訂され全面実施されています。新しい学習指導要領では「情報の扱い方に関する事項」が新設されました。図表や文章にある情報を取り出して整理したり、図表と文章の情報の関係を捉えたりする力などの育成が目的です。そしてこれは中学・高校での学び、大学入試とも関わってきています。

B入試の国語では、短めの文章読解を通して論理的な判断力を問う問題が出題されました。短めの文章を読み、確実に正しいといえる選択肢をすべて選ぶという形式でしたが、新大学入試を意識したものといえるでしょう。

そして後期入試では、リスニング入試が行われ、「オランウータン」という言葉の意味に関する会話文と美術館のエントランスで流れるアナウンスの2つが出題されました。日本語の傾聴力を見る検査です。

B入試と後期入試の新傾向問題の得点率は他の問題と大差なかったようですが、できる子とできない子が二極化していたそうです。

さて、この後期入試のリスニング問題。決して難易度が高いものではありません。ただし、ふだん、きちんとした文で会話をすることがほとんどなく友達との会話が中心になっていたり、単語やごく短い文で会話をしていたり、相手に察してもらいながら会話をすることに慣れてしまったりしている子にとっては難しかったのではないかと思われます。今年度の問題では、会話から適切な推測ができるかを見る問題も出ていました。この力は読解力にも影響しますし、もちろん塾や学校の授業で聞いた内容を正確に理解できるかどうかにも影響します。

今後、リスニング問題を国語で出題する学校が増えるかどうかはわかりませんが、近年、「聞く力」の低下が問題視されてきていることを踏まえると、中学入学後の授業についてくる力があるかどうかを見るための一つの手段になるといえるでしょう。指導をしていても、視覚優位か聴覚優位か以前のレベルで「聞く力」の低下は感じられます。

金蘭千里中学校を志望しているのであれば、リスニング対策を日ごろから行うようにしましょう。特別な学習ではなく、ニュースをメモをしながら聞き(このときニュースは録音)、その内容についていくつかの質問をして答えるようにしてみましょう。質問は、話題に関するもの、特徴的な点、具体的な事例や名称などに関するものがいいでしょう。慣れてきたら、その話から推測できることに関する質問をしてみましょう。