過去問は志望校対策用だけではない

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

過去問演習の時期に入り、入試問題の解説に追われる時期になりました。

過去問演習、模試ではA判定なのに過去問ではまったく点が取れない、なんてことはよくあります。

点が取れない原因は様々ですが、取れない箇所が記述問題に集中している場合は、模試と入試の記述問題の質の差を埋めることができていない可能性が非常に高いです。

模試は採点処理の都合上、記述力・表現力を見るよりは「編集能力」を見るものになりがちです。切り貼り・つぎはぎ能力ですね。文章の中から解答の根拠となる部分を見つけてその部分をつなぎ合わせれば答えができてしまう(ただし、基本的に冠模試は違いますよ。入試に準じていますから、冠模試の記述は「編集能力」だけでは対応できません)。様々な塾の模試を見ていると、過去問演習になると記述問題が取れない子が続出する理由もわかります。採点システムの関係なのか採点ミスなのか、キーワードが入っているものの因果関係が逆になっているのに〇になっていたり、入試では減点になる話し言葉で書いていても〇になっていたり、なんてこともありますから。

この「編集能力」のレベルでも点が取れるラインの学校ももちろんありますが、それではたちうちできない学校もあります。最難関はまず無理ですね。それに気づかないまま、来てしまうと大変です。国語については、過去問演習は小5の後半から開始してもいいくらい。志望校のではありませんよ。「編集能力」で対応できるレベルの学校から開始して徐々に上げていくのです。国語については、5年の後半で未習となるのは一部の漢字程度です。文法事項も基本的なことは一通り終えていますしね。もちろん全問解くわけではありません。鍛えたい力・目的に合わせて問題を適宜選別します。

「文章のレベルが入試では難しすぎるのでは?」という意見もあるかもしれませんが、小5以上のテキスト・模試、入試問題の改訂流用、多数ありますよ。「あ、これ、この学校で使われた文章だ」とか、「この選択肢、記述問題の解答を正答選択肢にしてるわ」とか。私の生徒の受験校は上から下まで様々なので、毎年最低でも50~60校程度の過去問には目を通して確認します。すると、テキストや模試を見れば、あ~これ、同じ部分使っているな~とか、わかるんですよね。

入試問題と模試の質の差をいかにはやく埋めるかは重要です。それにはレベルと志望校の傾向を踏まえて徐々に慣れさせていくのがいい。もちろん、すべての生徒にではなく個別対応ですけれどね。必要だと判断した子には、小5の10月あたりから過去問を使った演習を行っています。

そうやって鍛えた生徒の中には、足を引っ張っていた国語がどの私学の問題にも対応できると塾の先生から太鼓判を押されるレベルにまで上がってきた子もいます。過去問演習は小6の10月からと言われることが多いようですが、使い方ですね。個別の能力・性格・弱点により、過去問はいくらでも使いようがあります。志望校対策だけで使うのはもったいないと思います。

ただ、関西では関東にあり主要校の過去問集(いわゆる銀本)のようなものがないので、そろえるのはたいへんですけどね。そして場所を取るので、定期的に整理・処分も必要で…。