足らない? 足りない? どう違うの?

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

 

生徒からの質問:「足らない」と「足りない」のどっちが正しいの?

答え:どちらも正しい。ただし、「足らない」のもととなる「足る」は現代では一般的には使われていないので「足りない」のほうがよい。

 

「足らない」も「足りない」もどちらも正しいのです。

これらの違いは動詞の活用の種類が違うということです。

活用の種類を細かく学習するのは中学校ですが、中学受験生・私立小学校の生徒さんは中学校学習内容と同内容を学習していることもあります。

「足らない」はラ行五段活用動詞「足る」の未然形に打ち消しの助動詞「ない」がついたもの。(「足ら・足ろ/足り/足る/足る/足れ/足れ」)

「足りない」はラ行上一段活用動詞「足りる」の未然形に打ち消しの助動詞「ない」がついたもの。(「足り/足り/足りる/足りる/足りれ/足りろ・足りよ」)

「足る」がもともとあった言葉で、古語の「足る」と同じ意味です。飛鳥・奈良の万葉の時代からあったとされています。

「足りる」は江戸時代のころから江戸で使われるようになったと言われています。

どちらも正しいのですが、現代の言葉として広く使われているのは「足る」ではなく「足りる」なので、「足らない」よりも「足りない」を使うほうがいいでしょう。

ちなみに、大阪弁で「足りない」は「足りひん」になります。大阪弁の「ひん」と「へん」