読解力・思考力・表現力をつける読書のしかた 「読書好き」=「国語ができる」わけではないのです
こんにちは。
大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。
私に家庭教師を依頼される生徒さんの多くが理系科目が得意です。そして、会話では主語すっとばし、目的語すっとばしなんてことをよくやります。でも、そんな生徒たちが言いたいことがなぜかわかるので、保護者の方に不思議がられることがあるのですが、それは私が、国語が得意な理系だからかもしれません。(高校まで理系だったんです。それも国語・英語・政治経済・化学・生物・基礎解析・微分積分は得意。世界史、物理、確率統計はとんでもなく苦手。世界史にいたっては「おまえ、いっぺん死んでこい」と言われるほど、ひどい成績でした。)
理系の子達の考え方・伝え方のクセがわかるからか、あ~今この言葉省略したなとか、あ、AからCまでの思考過程でBを省いて話したな、と気づける。そして、なによりも私自身にその傾向があったから。でも、それではいけない。人に伝わるように話しなさい! と、小1~2のときの担任の先生に徹底的に教えられ、鍛えられたのです。
小1~2のとき、本を読み読書感想を担任の先生に話すという自主課題がありました。本を読み終えたら何をいつ読んだのかをシートに書き、国語の時間の読書報告タイムや放課後、休み時間などに先生に本を持っていってどんな話か、どう思ったかを話す。何をいつ読むかは自由。何冊読むかも自由。1冊読んで、読んだ本を先生に渡し、本を見ている先生を相手に、あらすじ・感想を伝え、OKをもらえたら1枚シールがもらえる。私は年間300冊くらい読んでいたので、1日に数冊の内容を話すこともありました。夏休みなどの長期休みは親に話してサインをもらったら新学期にシールをもらえました。
この担任がとても厳しくて、小1だろうが容赦しない。主語と述語がおかしい、出来事の時系列が不明瞭、登場人物の説明があいまい、「てにをは」がおかしい、前後のつながりがおかしいなどなど、小1であっても容赦なくダメ出しをしてきました。でもただダメ出しをするわけではなく、こちらがうまく説明できないところは質問を細かく分けて答えやすくしたりもしてくれました。また、「どう思いましたか?」というあいまいな質問をしませんでした。だれが出てきたのか、人物関係はどうなっているか、どの場面を一番覚えているか、それはどうしてかを聞いたうえで、最後に感想をまとめさせる。これを2年間、それも低学年の2年間、週5~6日で続けたらいやでも国語力はつきます。知らず知らずのうちに読解力・思考力・表現力が鍛えられたと思います。人に聞いてもらうにはどうしたらいいか、理解してもらうにはどうしたらいいか、小1のころから考えさせられていたのです。そして、このときの強烈な記憶が今、指導時にとても役に立っています。
あと10日ほどで夏休みになります。お子さんが国語が苦手なら、本を何冊か選び、毎日10P、20Pなど量を決めて読み、その内容を説明するということを30日続けてみてはいかがでしょうか? 読書感想文の本を毎日少しずつ読み、その都度内容と感想を聞く。同時にお子さんにその感想をメモしてもらって本に付箋で貼っていく。すべて読み終わったとき、一番記憶に残っていることを聞く。その場面の付箋をもとに感想文を書く。
読解力・思考力・表現力はただ本を読んでいても鍛えられるものではありません。本が好きだけれど国語ができない子とできる子の違いは、読み方にあります。国語力のつく読み方を夏休みを利用して試してみるのもいいかもしれません。