読解力は全教科の土台となる力ではあるけれど

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

ここ数年、理科・社会の文章が長めになっているというのをよく聞きます。一年目の共通テスト数Ⅰの問題文が長すぎるというのが話題になりましたが、中学受験でも問題文が長くなってきているようです。国語も例にもれず、文章の総字数は全体的に増加傾向にあります。

これにより、読解力がないと他教科に影響する、という危機感を抱く方が増えているようです。

 確かに、国語はすべての教科の土台となる読解力を養成します。しかし、ここで絶対に忘れてほしくないのは、教科によって重点的に読むポイントが異なるということです。

国語では、主語・述語・修飾語を区別し、助詞や接続語(接続詞+接続助詞)・指示語をもとに単語・文節・文どうしの関係を正しく理解したうえで、対比・同意(具体と抽象)・因果の関係を把握し、文章を構造的に理解しながら、筆者の主張や明示されていない事柄を正確に推測する必要です。

文学的文章特有の表現を文脈から解釈することも必要ですし、他教科ではまず使われない膨大な言葉の力も必要です。

 一方、算数・理科・社会では、筆者の主張や明示されていない事柄を正確に推測する力は不要です。客観的に書かれていることを理解し、条件・情報を整理していくことが大切です。

つまり、教科ごとに読むポイントが異なるため、読み方を変えないといけない。そして、この点は国語の先生が教えることではなく、各教科の先生から教わることです。教科ごとの読み方でつまずいている場合は、いくら国語読解指導をしたところで意味はありません。

全教科に共通する力は主語・述語・修飾語を区別し、助詞や接続語(接続詞+接続助詞)・指示語をもとに単語・文節・文どうしの関係を正しく理解する力。この力があれば、たとえば、算数の文章題で大きくつまずくことはありません。でも、算数の文章題で主語・述語・修飾語を区別することができても、国語の文章でそれができるかどうかは別です。数千字に及ぶ長文の中で、主語の省略や読み取りにくい主語を見抜くことはまた別の難しさがあるからです。

それぞれの教科特性を考慮して、お子様がどの部分でつまずき、どこまではクリアできているのかを判別することで、各教科で必要な読解力を正しく伸ばすことができます。「国語が苦手だし、算数の文章題もできない→国語を強化しないと!」という判断は、正しくもあり、間違いでもあります。国語の強化もしつつ、各教科で必要な読解力を各教科の担当の先生から強化してもらうことも重要なのです。