設問は分割せよ!

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

井上靖さんの『握手』という小説をご存じでしょうか?

1993年から、光村・学校図書(今はないですが)・三省堂の中3国語教科書にも載っている作品です。

現在は光村の中3教科書にのみ載っています。

私がこの作品を読んだのは大学生のとき。カナダ人のルロイ修道士は、第二次世界大戦開戦前から日本で暮らし、児童養護施設「光ヶ丘天使園」の園長となります。ある日、そこで育った「わたし」のもとにルロイ修道士が訪れます。カナダに帰るからと。実際は病気に侵されていて、その後亡くなるのですが。

その「わたし」との思い出話をする中で、ルロイ修道士が言った言葉が私は大好きなんです。

「困難は分割せよ」

膨大な量の仕事量でパニックになりそうなとき、難度助けられたことか!

で、この「困難は分割せよ!」は国語の設問理解でも使えます。というより使うべき!

指定が何か、問われていることは何か、解答の核とすべきことは何か、解答の根拠として押さえるべき文はどれか。すべて設問文に手掛かりがあります。これは設問を分割することで見えてくる。それをしない生徒はとても多い。

たとえば、「『彼はうつむいた』とありますが、この様子を見たときの『わたし』の気持ちを80字以内で説明しなさい。」という設問文であれば、以下のように注目すべき箇所を分けます。この作業により、解答の手掛かり・すべきことが見えてきます。

①「彼はうつむいた」→「彼」はどんな気持ち? その原因はなに?(→心情と原因となる出来事はセットで考える。すると注目すべき場所が限定できる。傍線部の前といった思い込みではなく、一定量の文脈に意識が向くようになる)

②うつむいている彼を見た「わたし」の気持ち→「彼」を見たときの「わたし」の気持ち(→解答の中心はこれ。「わたし」の様子や言動、心情語に注目できる)

④80字以内(→指定字数の9割に満たない場合は要素不足を疑う。塾では8割埋めると言われるが、それは採点対象の基準。基本的に模範解答は9割で作成されます。)

分割することで、答えの筋道・必要な要素・解答の核が見えてきます。指定語句があれば、その語句をもとに解答の根拠を速く正確に限定できます。

設問文を最後まで読まずに解く習慣があるなら、それを改善しましょう。国語で点が取れないのは、文章を理解できていないからとは限りません。文章内容は正確に理解しているのに、設問文から重要な情報を拾わずに答えていることも多いのです。また、別の記事で書きますが、語彙力が影響していることも多々あります。点が取れないからといって、文章の読み方を改善したところで、意味がないこともあるのです。