記述解答ー主語は入れる? 入れない?ー

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

 

国語の記述解答。模範解答を見ていると主語があったりなかったり。「この解答、答えに主語がないんですけど、主語ってなくてもいいんですか?」。

過去問演習シーズンのこの時期は特によく聞かれます。

 

記述解答の主語、模範解答にない場合もありますよね? これには、きちんとした理由があるのです。

常に主語をいれなければいけないわけではないのです。

記述解答作成の基本は、「解答した生徒が文章をどう理解してどういうことを答えようとしたのかということを、問いと解答を読んだ第三者がすぐに正確にわかるように書く」ことです。

ですから、問いの文に主語や主体が明示されているなら、主語・主体を解答に入れる必要はありません。場合によっては入れることで他の必要な要素が入らなくなることもあります。

具体的に見てみましょう。咄嗟に作った文なので多少おかしくてもそこは流していただければ…。

【例】さとるが帰宅すると、弟が居間のソファに座っていた。「ただいま」というと弟は笑顔で「おかえり」と言った。いつもとかわらない会話だ。が、違和感を覚えた。弟の手がかすかにふるえていたのだ。思わず顔を見る。そんなさとるの視線を感じたのか、弟は不意に手をかくし、「宿題してくる」と言って部屋を出ていった。

問「『違和感を覚える』とありますが、さとるが違和感を覚えたのはなぜですか。」という問いであれば、答えに「さとる」は入れる必要はありません。「さとる」について答えるように指定されているからです。ただし、違和感を覚えた原因になっていることについては主語と述語を入れる必要があります。

解答例「弟は平静を装っていたが、手がかすかにふるえていて不自然な感じがしたから。」

 

これに対し、問いが以下のようであれば「さとる」を入れなければいけません。

問「『違和感』について、どういうことか説明しなさい。」

答え「一見いつもと同じように見える弟の手がかすかにふるえていることに、さとるが不自然さを感じたということ。」

ここでは「違和感」についての説明をしなければいけません。「さとる」を省略してしまうと、採点者は解答した生徒が「さとる」が違和感を覚えたと理解したのか、「弟」が違和感を覚えたと理解したのか、判断できなくなってしまいます。ですから、この問いでは主語が必要になります。

 

解答に必ず主語を入れるとこだわってしまうと、字数指定がある場合、より重要な要素を落としてしまうことがあります。問いの文と答えを読んで、意味が正しく通るか、第三者に自分の答えようとしていることが正しく伝わるものになっているかを考え、主語をいれるべきかどうかを判断しましょう。