言葉の力の弱さと論理の飛躍の関係

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

 

語彙力に関して、「語彙力の弱さを成績の上がらなさにむすびつけるのは逃げ」と思われるかたがいるようです。

大人も知らないような難語まで覚える必要はありませんから、そのレベルの言葉がわからなくて「語彙力がないから」というのは逃げかもしれません。

とはいえ、やはり言葉の力が弱いことは致命傷になることが多々あります。それは一見語彙力に問題がないように思われる場合でも注意が必要です。

文章内容は正確に理解できている。それなのに点が取れない原因に言葉の力の弱さ、語彙力のなさが関係していることがあるのです。文章を論理的に読むこともできている、内容を確認すると文脈に即して正しく理解もしている。ところが文章中の言葉を言いかえた表現が用いられた選択問題や記述問題になると点が取れない。記述問題も解答の根拠は合っているし、質問をして確認すると正確な答えを導き出させる。でも答案の答えはずれている。この場合、本人は文章の内容を適切にまとめたつもりが使う言葉の選択を間違えてずれてしまっているのです。言葉の意味をそもそも間違えて覚えている、それも身近な言葉で当然知っているだろうという言葉を間違えているということも多々あります。

語彙力とは「言葉をどれだけ知っているか、かつどれだけ使えるか」という力です。言葉をたくさん持っているけれど意味を間違えて覚えているなら、それは語彙力があるとは言えません。語彙力がある=必要な言葉を知っている=正確に覚えている・言葉を正しく使える必要があるのです。

子どもの年齢にあった言葉を知っていること・それを正しく使えることが大切です。これができないと、論理の飛躍が生じます。文章に書かれていることを自分の中にある言葉で言いかえるときにずれが生じ、結果、「なんでそうなった?!」というような解釈をしてしまう。適切な解答を選択できない・記述できない原因が語彙力の弱さからくる論理の飛躍にあるのです。

語彙力がないと言われたら、その本当の意味するところを考えてみる必要があります。難語を知っているかどうかということとは違う意味の語彙力の弱さがあるかもしれません。