私立大学医学部小論文分析と対策ー2

私立大学医学部入試において、面接と小論文の比重は年々増していっています。学力試験でしっかり点をとれば面接や小論文でしくじっても問題ないということはなくなってきています。たとえば、2017年度入試より、小論文を廃止していた東京慈恵医科大学は、小論文を課すようになりました。東京慈恵医科大学では、面接後に小論文を書かせます。課題文型の小論文ですが、面接時間により課題文をすべて変えています。そして受験生に対しては、段階評価を行うこと、小論文の受験技法を問うものでも、国語の試験でもなく、世界でたった一人の「自分」が考えたことを「他者」に伝えよ うと努力する人を求めていると告知しています。型通りの小論文は通用しません。もちろん、序論-本論-結論の順に書くというような型にしたがって書くことは問題ありません。しかし、その内容が誰もが考えているものであったり、「医学部小論文の模範解答」にあるような解答を真似したものでは評価はされません。作文・小論文の採点をしているとどこかで見た内容なだというものがとても多い。書いた本人の考えが見えないものが非常に多いです。これでは、これからの入試では厳しくなるでしょう。

それでは、具体的に何をしたらいいのでしょうか?

 

①論理的思考力・批判的思考力を身につける

小論文は論文である以上、自分の考えを述べる際に客観的な根拠を提示し、一般化して論理的に述べる必要があります。たとえば「夢」について書くとしましょう。小論文では、「夢」という課題に対して自分で問いを立て、一般論を述べる必要があります。ここでいう一般論を述べるとはすでに知れ渡っていることを述べるということではありません。多くの人に受け入れられる妥当性のある論として書き上げるということです。ですから、小論文では、自分の考えを述べる際に論理性があることが不可欠なのです。読んだ人に、自分の考えの根拠を明確に提示し、「なるほど」「たしかに」と思わせるものにしなければなりません。そのためには、まずは、論理的思考力を身につけることが必要です。また同時に、物事の問題を特定して分析し、論理的・合理的・多面的に評価を下す批判的思考力も身につけなければなりません。そのためには、様々な物事を多方面から考える習慣をつけること、様々な物事について「なぜ?」と問う習慣をつけることが重要です。これは、課題発見力を鍛えることにもつながります。また、この力は2020年から始まる大学入試改革でも重視され、大学入学後、さらには医師になってからも必要な力でもあります。

 

②基本的な医療用語を押さえる

医療用語を押さえると言っても、ただ暗記するということではありません。それぞれの用語の意味を理解したうえで、その内容について問題点を指摘したり自分はどう考えるかを述べたりできるようにしましょう。「地域医療」を例に挙げるなら、「地域医療とは、地域住民の健康維持・増進のために医療機関の主導の下、地域の行政機関や住民、企業などが連携して取り組む総合的な医療活動」ということを理解するだけでなく、地域医療を実践するうえでどのような問題があるか、その問題を解決するためには何が必要かといったことまで考えるようにします。これにより、一見医療と関係のないテーマが出された場合でも、医療と関連付けて考えることが容易になります。

 つづく