漢字の筆順ー世代によって違いがあります

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

保護者の方がお子様の漢字の書き取りを見ていると、「この筆順だった?」と思うことがあるかもしれませんし、お子様に「間違ってる!」と言われることがあるかもしれません。

それは、1999年を境に、筆順指導の基準が変わったからです。

漢字の筆順については、1958年に現在の文科省が「筆順指導の手引き」というものを作成し、これに基づいて指導がなされました。、その手引きには「本書に示される筆順は、学習指導上に混乱を来たさないようにとの配慮から定められたものであって、そのことは、ここに取りあげなかった筆順についても、これを誤りとするものでもなく、また否定しようとするものでもない。」という記載があり、学校で指導される筆順以外のものもまちがいとしては扱わず許容しています。

しかし、この後、平成11年、義務教育諸学校教科用図書検定基準(平成11年1月25日文部省告示第15号)の中で以下のように決められました。

 [国語科「書写」]

1  選択・扱い及び組織・分量


(1)  手本,作例などに,偏った筆使いや字形をもつものなどの不適切なものは取り上げていないこと。

(2)  使用する用具は,硬筆は鉛筆を,毛筆は兼毫を主としていること。

(3)  書写される漢字の字体については,児童又は生徒の習得の程度に応じて,「とめ」,「はね」などに関して活字とは異なった書写の便宜上行われている形のあることを理解させる上に必要な配慮がされていること。

(4)  漢字の筆順は,原則として一般に通用している常識的なものによっており,行書で筆順が異なる字については,適切な説明を加えていること。なお,漢字の楷書,行書及び仮名の書き方の理解を深める際に,法帖や碑文などの文字を取り上げる場合には,原則として歴史的に評価の定まったものを用いていること。

 

この(4)に注目してください。「漢字の筆順は、原則として一般に通用している常識的なものによっており」とあり、現在の筆順指導は「筆順指導の手引き」に準拠したものにはなっていないということがわかります。これが出されたのが1999年(平成11年)ですから、この年以降に義務教育を受けている人(28歳以下ですかね)は新しい基準で漢字を学習しているので、これより以前の人とは習った筆順が変わっているのです。

ですから、保護者の方が習った筆順とお子様の習っている筆順とが違っていて当然なんですね。

間違いでもありませんし、いけないわけでもないのです。ただ、漢字を指導される際は、教科書の筆順を確認されるといいですね。

また、送り仮名についても世代によって違いがあります。これについては、次回、書きたいと思います。