洛星中学受験者は「赤本の答えを信じてはいけません」

こんばんは

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

タイトルの「赤本の答えを信じてはいけません」。

これは洛星中学の入試説明会で洛星の先生がおっしゃっていることです。赤本にあるような浅い答えは求めていない。求めている答えは違う。

たしかに、赤本の答えは「これ正解か?」という記述問題の解答があります。さらに洛星の問題の正答は選択問題でも出版社によって異なることが多々あります。他校よりも格段に多いと思います。洛星中学の先生の言葉の通りでしょう。

洛星中学の記述問題では、洛星中学が求めている答えが何かを考えて採点する必要があります。ですから、答え合わせをしているときに過去問と違う答えでも正解になることがあります。というか、正解にしています。洛星中学が求めているのは、京大型の思考力です。東大型ではありません。これがわかっていれば、記述の答えは赤本とは異なってきます。あ、もちろん、中には赤本の答えしかないよねという基本的な記述問題もありますよ。でも数としては少ないのです。

この赤本の答えに関連して注意しなければならないのが、複数の塾の洛星中学過去問演習の答えが、赤本とまったく同じという点です。つまり、「ある塾が出している模範解答=洛星中学が求めているのとは違う解答」ということです。これが一番危険です。高槻中学のように問題と解答を公開している学校の場合、「学校の解答=赤本の解答=ある塾の解答」となるので問題ありません。しかし、洛星中学は学校は解答を公表していないので、「学校の解答≠赤本の解答=ある塾の解答」となってしまっているのです。

洛星中学志望ならこの点は注意しなければいけません。

今年の洛星は難化しました。しかし、設問を見ると2017年と2018年にあった受験生自身の考えや思いを答えさせる問題はなく、オーソドックスな問題に戻っています

では、どこが難化したと言えるのでしょうか。それは指定が増えたという点です。問題文に「あらすじもよく読んで」という指定が久々に出ました。これは以前にも出ていたので「洛星らしい」のですが、設問文に説明すべき点が明確に示されるようになりました。たとえば、前期の問10で「ねたましさとさびしさ」について、これまでの洛星なら「どういうことですか。説明しなさい」となるであろうはずが、今年は「『ねたましさ』と『さびしさ』をそれぞれ説明しなさい」と述べて、両方を説明するという指定が加えられています。また、問12でも傍線部に「怖いのである」という部分があり、これまでなら「どういうことか説明しなさい」となるであろうはずが、「どのようなところが怖いのですか」と問うことで、答えの方向性を受験生に示す設問になっているのです。

指定があると解きやすく感じられますが、必ずしもそうとは限りません。指定があるということは指定された要素がなければ大きく減点されたり、0点になったりするからです。日頃から指定を落としやすい子、視野が狭く一部分に捉われやすい子にとっては難しくなるのです。

これまでは、多くの学校がシンプルな設問にして、問われていることは何かを受験生が自ら気づいて理解して答えられているかを見る問題が中心でした。

しかし、今年の問題は指定を示すことで、答えるべき点は教えてあげるからその点について的確に簡潔に答えられるかを見るという問題が増えました。親切になっていますが、設問要求をしっかり受け止めて答える注意力と思考力、表現力が求められています。これは洛星に限らず2019年度入試の難関校以上に見られた傾向ですから、来年度入試に向けて、この点を意識した指導が必要です。塾のテキストの設問は、従来のシンプルな設問が多いので、こちらからあえて指定を出してその指定を落とさずに答えを作る練習をさせていくことが必要となります。

あと、これは余談ですが、重要な話。洛星志望者は東大寺の漢字過去問を解いておきましょう。東大寺で出題されたのとまったく同じものが、洛星でも頻出していますから。