洛星・高槻・四天王寺入試問題雑感
こんばんは
大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。
先日行われた中学入試問題を解きながらの雑感です。
洛星は難化。昨年の「屋根の上のサワン」は読みやすかったですからね。今年は竹西寛子さんの「虚無僧」。竹西寛子さんの文章は高校入試や大学入試でもよく出ます。「神馬」は一時期あちこちの入試で使用されました。「虚無僧」。いい文章なのですが、小学生には難しかったと思います。問題は、相変わらず基本的に良問の洛星。個人的に関西の私学の中では洛星の問題が解いていて一番楽しいんですよね。深くて。洛南の問題は処理している気分になってくるんです。灘・東大寺の問題も好きですが、解いていてわくわくするのが洛星。あくまでも個人的な感想です。選択肢はそれほど難しくはないのですが、やはり記述は厳しい。字数指定がないものは特に。表面的な浅い読み取りでは無理。受験者平均は去年より13.7点下の60.6点。去年よりは難化していますし、120点配点になった2010年からの10年間で見てもかなり難しい。前期の結果の中でも下から2番目の平均点。2013年の前期が56.8でワースト。後期も含めても下のほうになります。ちなみに後期の最も受験者平均が低い年度は2015年の54.9点。問題レベル自体は後期のほうが簡単なんですが、後期のほうが受験者平均は低い。受験者層のレベルの影響だと思います。洛星の前期で鍛えられている生徒は後期の問題は簡単という子も多いですね。
洛星の傾向は大きく変わっていません。
数年前の出題傾向にもどりつつあるくらいです。明治・大正中心に活躍した作家から、昭和を中心に活躍した作家が2年続けて出ているのは気になります。(洛星の説明会では、明治から昭和の文豪の作品を出すと言っていますから予告通りなのですが、明治の文豪と昭和の文豪では文章の特徴がちがう。)芥川、坪田譲二、赤川武助と来ていたところで井伏鱒二・竹西寛子と続きましたから。来年はどうなるか。ちょっと気になる話もあり、もしかしたら問題の質や傾向に若干の変化があるかもしれません。
高槻も若干難化。2017年共学化の年に出した教育漢字(小学校で学習する漢字)ではない漢字の出題は2018年に続いてなくなっているので、今後も出ないかな。出ても1問程度だと思います。最難関でも1~2問ですから。高槻の問題は相変わらずバランスよくまんべんなく出してきますね。文構造理解、文章内容理解、語彙力、漢字力。深い読み取りをさせるものから基本的なものまで、バランスのいい問題だな~と思います。洛南を蹴って高槻に入学した生徒もいるそうですし、大阪医科・薬科との関係もあり、今後もっと偏差値は上がってくると思われますし、問題も難化していくと思います。
一方、四天王寺の国語は易化。なんとなく年々簡単になっているような…。コースで基準点を分けているところは問題はそれほど難しくないところが多いですね。清風や奈良の帝塚山もそうですね。四天王寺は問題レベルは難しくはないのですが、文章題が3問構成なので、これに慣れていない子はやられます。本命校が文章題2問構成のためその感覚で対策をしきれていないと失敗します。時間配分をうまくできたかどうか、取るべき問題でしっかり得点できたかどうかが合否に大きく影響してそうです。