森を見て木を見ずで文章を読む

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

読解力を上げるために要約や要旨のまとめはとても有効なのですが、要約や要旨のまとめはそこそこできるのに特定段落の内容を問われたり指示内容などの細部を問われたりすると点が取れない子がいます。

文章全体で言いたいことは理解できている・全体内容を問う問題の正答率は高い。しかし、他の問題、特に細部読解を問う問題の正答率が低い。

そういう子は文脈を押さえて細部理解をつなげ、全体を把握することができていません。では、なぜ要約や要旨のまとめはそれなりにできてしまうのか。

筆者の主張は文章の最初と最後にあることが多く、そこに着目すれば要旨はまとめられます。また、要約では抽象化した部分に着目してまとめるとそれなりのものができます。

要約や要旨のまとめでは、筆者が主張の根拠として挙げている具体例の意味や、一部の指示内容を把握しなくてもそれなりのものは書けてしまうのです。

文章には中心を流れる大きな筋があります。そしてその筋から出ている小さな筋もあります。これらの小さな筋は主張の根拠となる具体例であったり筆者の感想であったり、物語であれば回想場面などであったりします。小さな筋は大きな筋との関連があきらかな場合もあれば、単独で存在しているかのように一見するとつながりが不透明な場合もあります。ここが盲点になっています。

全体で何を言っているのか理解しているのに細部を問う問題が苦手な子は、この小さな筋が大きな筋とどうつながっているかを正しくとらえることができていません。「関係ない」と思ったり、関係があると思ってもどうつながるのかわからないところについては本文とは異なる理解で論理を変えて強引につなげるということを無意識に行っています。

この修正をしないと細部読解問題で間違えます。

この場合は、細部理解を重ねて文章全体を理解できるようにしなければいけません。一文の理解・文相互の理解により段落内容を正しく理解する、その後段落相互の理解につなげ、文章全体の理解につなげる指導が必要です。特に主語の省略されている文の主語・主体は何か、指示内容は何か、接続語の前後の関係はどうなっているかを理解することは大切です。