本嫌いの子が本を読むためにー授業でのしかけ
国語が苦手な子の中には読書が嫌いな子がとても多いです。
小学5・6年になると塾の宿題も増えてきて物理的に本を読む時間を取りにくくなりますし、そんな中、無理に読書を勧めてもかえって読書嫌いを助長してしまいかねません。ですから、私は読書をするように言うことは一切ありません。
ただ、本に興味を持ってもらうように授業にちょっとしたしかけをします。生徒さんが通っている塾の教材、実はほとんど持っています。M・H・Nなどの関西主要塾の教材で受験学年のものはほとんどすべて持っています。そして、教材・模試作成のために、月に1~2回図書館にこもります。その場で読んだり借りたりして、だいたい年間600冊程度の本に目を通します。また、年間50~60冊、多い年は100冊程度は新刊を購入します。そうしていると教材や模試に使われている文章をかなりの確率で目にするようになります。大手塾のテキストの文章は入試問題からの流用も多いので、「ああ~この話か」となり、その話の前後の内容がわかります。その中でテキストでは扱われていないおもしろそうな話を授業で生徒に話します。これは生徒さんの興味・関心に合わせて、話す場面を変えます。すると、「あ、この話続き読みたい」と言ってくる読書嫌いの子が必ず出てきます。
読書嫌いな子は、文字を読む作業がめんどくさい、文章をなかなか理解できないという場合もありますし、おもしろい本を探すという作業そのものがピンとこなかったり、とてもめんどうなことと思っていたりします。そこでそのハードルを授業を通して取り除いてあげるのです。
授業で文章内容を掘り下げて理解してもらうと「この本、わかる! 読める!」と思うようになります。また、テキストで用いられている場面では山場が用いられていておもしろいものもありますが、優先されるのは教育的かどうかや問題のつくりやすさですから子どもにとってはいまいち興味を持てないというものが多くなります。でも、その前後ではとてもおもしろい話があったりする。だからその部分を教えてあげて興味を持ってもらえる機会を提供します。子どもは「これはわかるかも」というメドが見えるものや興味がわいたものについては、何もしなくても知ろうとします。それを利用して読書嫌いの子が自分から読みたいという意識を持ってもらうようにしています。
嫌いなことを勧められても拒否反応が強くなるだけですからね。お子様が読書嫌いなら、「読むように言われたから」ではなく、「読みたいと思ったから」という方向にもっていくようにしてみるといいと思います。