文法軽視は中学入学後の国語に大きく影響します
こんにちは。
大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。
中高一貫校の生徒たちは1学期の期末対策に入っています。
中高一貫校は、学校によって差はありますが、中学生の間から高校内容の古典文法を学習します。早いところで中1の1学期。遅いところで中3と幅はあります。もちろん、公立の中学校と同じ進度で、中学のうちは学習しないという学校もあります。
中2開始の学校の場合は、中1で口語文法を一通り学習していることが多いのでそれほど問題はないのですが、問題は中1の1学期開始の学校。
中学受験では小5・小6で口語文法を一通り学習しているのですが、短期間にまとめて学習し、かつ入試ではほとんど出題されないので6年後半はほとんど文法に触れません。見事に忘れ去ります。この状況で古典文法の学習が始まるともうパニック。品詞の識別・歴史的仮名遣い程度ならどうにかなりますが、四段活用・ラ行変格活用などの動詞の活用や形容詞の活用、形容動詞の活用あたりでつまずき、わからないまま月日が過ぎ去り、古典苦手~というまま大学入試へ……なんてことはよくあります。古典文法理解には、まず口語文法(現代の国文法)の知識がなければ理解することは難しい。覚えればいいのですが、見慣れない古語というだけで理解が妨げられる生徒が多い。そして、古典文法がわからないと短歌・俳句も苦手となってくる。和歌なんてさっぱり。でも、大学入学共通テストのことを考えるとそうもいってはいられない。短歌の鑑賞文が試行調査で使われていたので、和歌が出てもおかしくはない。
だから、口語文法の理解は軽視しないようにしてほいのです。授業で学習した内容をその日のうちに復習する。2日後、5日後をめどに再度復習して定着させる。これを行うだけでもだいぶ違います。日本語の文法は覚えてしまえば難しくはない。そしてきちんと理解して覚えたら、ら抜き言葉などの間違い、敬語の間違いもなくなります。
余談ですが、私は国語を指導していますが、ら抜き言葉絶対反対! とは思っていません。美しい敬語を話せなければいけない! とも思いません。言葉は変化するものですから。ら抜き言葉は可能と尊敬の意味識別を容易にしますから、別に話し言葉で使ってもよくないか? とさえ思うことがあります。
ただ、私たちが生きる社会には幅広い年齢層の人がいます。その人たちと不要な摩擦を起こすことなく気持ちのよいコミュニケーションをとれることは大切だと思っています。言葉はその手段の一つです。だから、できる人はきちんとした言葉で相手や状況を考慮して使い分けるのがいい。でも、誰もが完璧にできるわけではない。できないなら、態度で表情で「私はあなたに敬意をもっています」「あなたと気持ちよくコミュニケーションをとりたいのです」ということを示せばいいと思います。でも、できる力があるなら、相手に応じて適切な言葉を話すことでよりよい関係を築きやすくなるのではないでしょうか?
勉強とは本来社会に出るときに必要となるものです。きちんとした言葉を話せる人は目上の人からの信頼も得やすい。幅広い年齢の人とうまくコミュニケーションをとることもできるでしょう。もちろん、実力があってのことですが減らせるマイナス要素は減らしたほうがいいのではないかと思います。
国語の力は一生ものです。文章を理解することだけが国語の勉強ではありません。入試が終わったあとのその先の勉強、人生も考えて国語の学習というものを捉えてもらえるといいなと思います。とはいえ、現実、なかなか難しいということはとてもよくわかります……。そこで、中学受験が終わったあとの1月~3月にちょっとだけ復習してみることをお勧めします。そして、現在中学生で古文が苦手なら、まず国文法を復習してみてください。