感覚に落とし込んで理解してもらう

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

ここ数年、低学年の指導がとても増えていて、本当に低学年の指導は難しいと感じています。
語彙力が大人とかけ離れている子どもを相手に説明することの難しさ。辞書のように言葉の意味を伝えたところでピンとは来ないので、いかに感覚に落とし込んで理解してもらうかを考えなければいけません。
 
以前、私立小学校の3年生の指導をしていて、学校のノートを確認していたところ、「客観的」という言葉が出てきました。「客観的」と学校のノートに書かれていましたので、意味がわかるか尋ねましたがわかりません。辞書のように、「 主観や主体を離れて独立に存在するさま。」「 特定の立場にとらわれることなく、物事を見たり考えたりするさま。」などと説明してもピンとくるわけがないのが3年生です。
 
そこで、こんな話をしました。
〇〇君の友だちのAさんとBさんがケンカをしました。Aさんから「〇〇さん、AさんとBさんのどっちが悪いと思う?」と聞かれました。〇〇さんはAさんが好きなので、Aさんの味方をしたくなりました。Bさんに「〇〇さんはAさんが好きだから、公平じゃない。ぼくのこともAさんのこともひいきしない人に聞いて」とBさんは言いました。そこで、ちがうクラスの、二人のことを知らないCさんにどっちが悪いか決めてもらうことにしました。Cさんは二人の話を聞いて決めることにしました。このときのCさんのことを「客観的に判断する」と言います。
 
実際は、この間に「ぼくはみんな好き!」とか「たぶんひいきはせーへん」とか、いろいろとやりとりはありましたが、「客観的」とはどういうことか理解してもらえて、類語の「中立」「公正」、対義語の「主観」といった言葉も覚えてくれました。4年生になり、文章中で「客観性をもって」といった表現が出てきたことがありましたが、正確に意味を説明してくれました。
 
また小学2年生の生徒に接続語を説明するときにも似たようなことがありました。「あるいは」の使い方でひっかかっていたので、「学校に行くときに、どの服着ようかな?って迷う日ある?」「青のくつした履くか、黒のくつした履くかどっちか迷っています。青のくつしたにしようか。黒のくつしたにしようか。二つの文をつなぐ言葉、何使うかな?」と質問していく。「それとも」と答えたので、「あるいは」は「それとも」の仲間の言葉なんだよと伝える。そのあと、本人に文を作ってもらう。
 
こんなことをしなくても「あるいは」は「それとも」の仲間と伝えてしまえば簡単です。でも、それをしてしまうと定着が格段に悪くなる。テキストの説明を読むのと変わりません。すぐに抜けていきます。
 
小学生の指導では、とりわけ低学年においては、本人が体験していること、実際に体験しそうなことと関連付けながら極力説明をせずに質問を重ねることで理解させていくことが大切だと感じています。