大学入試を見据えたときに 中学受験はすべき?

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師の住吉那巳枝です。

今回は大阪の公立高校の状況をふまえての話です。

大阪の高校から、全国の大学合格力ランキングベスト50に府立トップ校の北野・天王寺・茨木高校がランクインしました。

わざわざ中学受験をしなくても中学・高校でがんばれば最難関大学に受かることももちろん可能です。ただし、これらの公立トップ校に入るためには、ある意味中学受験以上に過酷な時間を過ごさなければならないかもしれないということも知っておいたほうがいいと思います。

大阪府の公立高校入試では、中学3年間の内申点が見られます。評価は絶対評価ですから、5を取ることは相対評価時代とは異なり容易です。実際、絶対評価に変わってから5を取る生徒の割合は倍になっています。しかしそのためには、中学入学と同時に主要5教科で校内トップクラスの成績を取らなければなりません。副教科でも当然取らなければいけない。また、公立中学で内申点を取るためにはテストで点数だけを取ればいいわけではありません。提出物・授業態度・学習への意欲が総合的に考慮されます。私は2年前まで公立高校受験生を家庭教師と塾の両方で指導していました。その中で偏差値は70近くあるのに内申点が足りないために模試でA判定の公立トップ校を受験させてもらえなかった生徒を見ています。点数以外の要素によって評定が影響を受けるという現実があるのです。

ここで、府立高校の合否判定方法を説明します。府立高校の合否は以下のようにして決められます。

① 学力検査の成績+調査書の評定の総合点から高い者の順に募集人員の110%に相当する者を一群として選抜。

② ①の一群の中で総合点の高い者から募集人員90%に相当する者を合格とする。

③ ②で一群の中で合格が決まっていない者を二群(ボーダーゾーン)とし、自己申告書及び調査書の「活動/行動の記録」の記載内容で高等学校のアドミッションポリシー(求める生徒像)に極めて合う者を総合点の順位に関わらず優先的に合格とする。

④ ③による合格者を除き、改めて学力検査の成績+調査書の評定の総合点の高い者から順に、募集人員を満たすまで合格とする。

トップ校では内申書:試験=3:7で見られます(この比率は学校により、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3と異なる)。ですから、ボーダーゾーンにいる生徒にとっては内申点が書かれた調査書が合否に大きな影響を与えるのです。

また、大阪府の公立高校の英数国の入試問題はA問題・B問題・C問題に分かれており、トップ校は基本的に発展的問題のC問題を選択します。(このC問題、なぜか準トップ校ふくめ府内の約20%前後の高校が選択しています。本当にトップでないとうちのめされる問題なんですけどね。)この3科目の中で合否に大きく影響するのが英語です。府C問題の英語は、リスニングの比率が約33%で、「聞く・書く」分野で90点中50点が配点されていて、英語4技能のうち「話す」能力を除いた「読む・聞く・書く」の3技能を見られます。また、このC問題は、単に英文法問題ができる・単語をしっかり覚えている、というレベルでは対応できないつくりになっています。学校レベルの英語ができるが国語が苦手という生徒にはかなり厳しい。その一例としてグラフを提示し、そこから読み取れることを説明した英文を選ばせるといった問題がありました。ですから、英語と国語を苦手科目にすることは絶対に許されません。国語については、今年の入試では書き下し文つきとはいえ漢文が出題され、記述の総字数も50字ほど増えて170字を超えました。作文も独立大問となりました。さらに、数学は、塾の先生や学校の先生でも満点は難しいのでは? と一部で言われるレベルです。

C問題に対応する力をつけるには、現状の学校教育だけでは厳しいと言わざるをえません。できるなら小学校高学年から、遅くても中学入学前から対策が必要です。そして、小学校のうちにすべきことはまずは算数と国語の力をしっかりと身につけることです。しっかりとした国語力がないまま英語学習をしても行き詰まります。

上記の点を踏まえて、小学校の3年間を受験勉強についやすか、中学校の3年間を受験勉強についやすか、どちらのほうがお子様に合っているか、体力や性格、キャパシティなども考慮して、中学受験をするか、それとも高校受験にするかを検討してみるのもありかなと思います。