国語が苦手ならまずこれをクリア!ー②具体と抽象を理解する
因果関係の理解について、前回お話したので、今回は具体と抽象の話です。
入試でも模試でも、レベルに差はありますが具体的な内容を抽象化する問題が必ず出題されます。ですから、具体的な内容を通して、ようするに何が言いたいのかを読み取る力をつけることはとても重要です。
その前に、具体的な内容を抽象化するとはどういうことか。そもそも具体と抽象ってなに? という生徒さんはとても多いので、その話から。
具体とは、「物事が、直接に知覚され認識されうる形や内容を備えていること」
抽象とは、「事物または表象からある要素・側面・性質をぬきだして把握すること」
ということですが、簡潔に説明するとこんなかんじです。
【具体】柴犬・秋田犬・土佐犬・プードル・チワワ — 犬【抽象】
柴犬・秋田犬・土佐犬・プードル・チワワが具体例、それを抽象化したのが犬になります。
柴犬・秋田犬・土佐犬・プードル・チワワに共通する性質などをぬきだすと犬になるということです。
これを文章で行うのが、抽象化するという作業です。
具体的なものを抽象化するとき、大きなヒントとなるのが、「たとえば」「例を挙げましょう」などの言葉です。「たとえば」から始まる一連の内容の前後に筆者の主張が抽象化されて書かれていることがとても多いのです。
論説や随筆を読むときには、具体例と関係のある筆者の主張は何かを意識するようにしましょう。具体例は筆者の主張をわかりやすく説明するために用いられたり、筆者の主張の根拠を示すために用いられたりします。具体と抽象を意識するためには、「たとえば」「例」などの言葉に印をつけます。そして、筆者の考えが読み取れる文末表現に印をつけましょう。「~だと思う」「~だと考えられる」などのほかに「~ではないだろうか」などの表現は筆者の考えを示す文末表現ですから、これらに印をつけるのです。特に具体的な内容の前後にあるものは重要です。そして、具体例が筆者の考えとどう関係しているのかを確認してください。
これを毎回意識して読むようにすると、筆者の主張が読み取れるようになるだけでなく、要約力もついてきます。