医学部小論文の対策は不要?

こんにちは。

医学部小論文分析と対策の原稿作成でばたばたしている国語プロ家庭教師の住吉那巳枝です。

大学の説明会で「小論文の対策を特にする必要はない」と言われることがあります。これを真に受けて(真意を理解しないで)対策をしないと、とんでもないことになります。

もちろん、対策をする必要のない生徒もいるでしょう。論理的でわかりやすい文章が書ける。自分の考えを根拠を提示しながら説明できる。様々な事柄に関心をもち、常に「なぜ?」と思考したり多面的に考えたりすることができる。などなど…

こうした力のある生徒はあえて小論文の対策をする必要はありません。大学側は、「医学部を受験するなら18歳の高校三年生という段階で、この程度のことはできていて当たり前」と考えて「小論文の対策を特にする必要はない」と言っているのです。

しかし、医学部を志望する受験生すべてが大学が考える「当たり前の力」を持っているわけではない。大学側が「このくらいの力、高3ならあるでしょう?」と考えているレベルに達していないのに、大学側の説明を真に受けて対策をしなかったらとんでもないことになります。そして、小論文の場合、偏差値が高いから対策不要ともいえないのが難しいところなのです。

物理・化学・数学・英語・国語の偏差値がすべて70以上、理系でめちゃくちゃ優秀な生徒がいました。数学にいたっては125とか138とかの偏差値を出した模試もありました。高1からずっと京大理学部A判定。しかし、そんな彼の書いた小論文は意味不明。決して論理的思考力がないわけではない。むしろ、めちゃくちゃ論理的に考えることができる。しかし、それを第三者が理解できるものとして文章化できない。省略をしまくっている。このくらいは共通認識! 自分はこのくらい書かれていなくてもわかる、だから相手もわかる! と勝手に考えて、重要なポイントを省略する。結果、第三者が読むと理解不能。論理破綻と言われかねないものができあがる。

実はこういう生徒は多いのです。ですから、一度は学校の先生なり塾の先生なり、第三者に自分の書いた小論文をチェックしてもらったほうがいい。対策が必要か不要かを考えるのはそこからです。

大学側が想定している当たり前の能力と自分の能力にどの程度の差があるのかを認識してから、小論文の対策は不要か必要か、冷静に考えてください。