写し間違いというミスをなくすには

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

タイトルにある「写し間違い」。これを書きぬきでやると0点で致命的なミスになります。2~4点程度は確実に落とします。

では、写し間違いを防ぐにはどうしたらいいか。「見直しをする」。あたりまえなのですが、見直しをしても(正確には「見直しをしたつもりになっていて」)直らない生徒さんもたくさんいます。

これは実体験としてわかります。私自身がうっかりミス大王でした…。いや、たぶん現在進行形で。その私が原稿のミスを見つける校正・校閲の仕事もしているのですから、なんだか不思議な気もします。うっかりミスは小学生~大学受験までやらかしまくりました。正しく計算し、正しい答えを導いている。計算式のところには2a+bとあるのに、解答欄にa+2bと書くなんてよくやりました。マーク模試では、1問わからないものがあり、飛ばしてマークしたはずが飛ばせていなくて最後に1問あまるというおぞましいこともやらかしました。でもそれを続けていると、その原因がなんとなくわかってきたんでえすね。

ミスをするときは、たいてい問題を解ききった満足感で一瞬でも気が抜けてときか、次の問題をとかなければ! という焦りで、あわてているとき。こういうときは、目と手と頭の動きがばらばらになっているんです。特に目、手と頭がばらばらだと見ていても見えていないんです。目と手は同じ動きをしやすいですが、意識しないと頭は別の動きをしてしまう。特に思考があちこちに飛びやすいタイプの生徒さんは注意が必要です。計算式の答えを目は見ている。手はそれを書き写している。でも、頭はもう次の問題のほうに行っている。もしくはほっとして、一瞬頭の中から目の前の問題が消える。すると目は見えていても手は頭につられて目が見ているものをきちんと写せない。見直しても間違いに気づかない、いや、気づけない。目で見たものを脳が処理して手に伝達指示を与えますが、このとき脳が別のことを考えるとうまく伝達できなくなる。

これを防ぐために、答えを書くときに読みながら書くようにしてみてください。人に聞こえる声でなくていいんです。つぶやくように、小さな声で、もしくは唇だけ動かすというのでもかまいません。目・手の動きと頭の動きを一致させるために音を使うと、頭が他のことに意識が向くのを避けることができます。

とはいえ、これで解決しないこともあります。たとえば、未学習の漢字の場合は写し間違いが増えます。その場合は文字をよく確認することがたいせつです。生徒さんによっては未学習の漢字(教材やテストではルビつきの漢字)になると写し間違える子もいます。形の似た別の漢字を書いたりします。そういう場合はよく見て書くように指導します。

また、写し間違いが多く読み間違いもある場合は、目の筋肉をうまく使えていない、目を動かす筋肉の力が弱い可能性もあります。スマホやタブレット、PCを使いすぎているとまばたきが減り、目の回りの筋肉が固まってきます。大人でもよくありますよね。その場合は目を動かすトレーニングで改善されることもあります。目を動かす筋肉のこりがなくなりやわらかくなると、目の神経の働きが上がり、視覚情報が脳を刺激し、見たものを正しく判断したり理解したりできるようになります。これを活用した訓練は速読術の中にもあります。

さらに、「自分はできるはず」という妙な自信に満ちた子、思い込みの強い子も、写し間違いが多いです。こういう子の場合は空目が多い。どこにそれ書いてあった? というような間違いをすることがあります。その場合は、「その子が」ではなく、「人間はどんなに優秀でもミスをする生き物である」という認識をまず持たせる必要があります。「その子が」とすることでプライドが傷つけられたと感じて余計反発する子もいますから、言い方に注意が必要です。生徒から「先生でも書き間違えるの?」と聞かれることがありますが、「するよ」と答えています。「めっちゃ間違うよ! 写し間違いすることもあるし、模試を作ってるときに字が抜けたりなんてめっちゃあるよ。でも、間違ったものを出したら仕事なくなっちゃくから、先生は書き間違いが多い! だから書いたら見直す、確認する、読みながらチェックするってことをやって、間違いをなくすようにしてんねん」と答えています。

人間は誰でもミスをします。ミスをしない人はいない。でも、ミスをしないように見えているのは、ミスが外に出る前に対策を講じているからです。写し間違いはケアレスミスだから見直すしかない、ではなく、原因分析を行い、それに合わせた対策をすることが大切です。

ちなみに私自身、現在仕事でやらかす写し間違い、書き間違いのミスは、大量の本を読み文章を書いている事が多い期間に集中しているので、目の筋肉疲労だろうなと分析しています。実際、目をケアすると視野が広がったり明らかに誤字脱字が減りますから…。