入試頻出作品を読もう! ただし、デメリットもふまえて
こんにちは。
大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。
一昨日、大手塾でコロナの集団感染が発生し、数日全校休校になっているとか。復習期間にあてたり、学校の夏期宿題に取り組む期間にあてたり、有意義に過ごしましょう。
さて、夏休み。読書感想文が宿題になる人も多いのではないでしょうか。その際、「入試に出やすい本を読むほうがいいですか?」と聞かれることがよくあります。
これは実は個人差が大きい。先入観を持ちにくい子、読解力のしっかりしている子には、「そのほうがいいです!」とおすすめしています。入試に出やすい文章を読んでいると、それぞれの著者の表現の特徴や論展開の型などが見えてくることがあります。この人の文章は複雑な家庭環境に負けずに生きる主人公が多いな、とか、植物の生きざまを人間社会とからめて話を進めるな、とか。すると、「この人はこういうテーマの話が多いからこういうことをいいたいのかも」と検討をつけつつ、文章を正確に読むことで深く理解できるようになります。また、かつて読んだ本が入試に出た場合、見慣れない文章を見るよるも安心感を覚えます。受験という緊張が強いられる場で、あせりや緊張を緩和させます。
一方、思い込みの激しい子、読解力が微妙な子については、条件付きでおすすめしています。知っている文章が入試に出るというのは、有利なように感じますが、実は個人差が大きく出ます。経験上、思い込みの激しい子、読解力が微妙な子の場合、内容を誤読していることがあります。「なんでその理解?」というような理解の仕方をしたり、一部分が全く理解できていなかったりなんてことはよくあります。また、「この文章知ってる!」という意識から、読み込みが甘くなり、読み飛ばしが発生。結果、点が取れなくなるということが生じやすくなります。また、入試ではその本のごく一部が切り取られます。その切り取られた範囲で問題は作られます。本一冊を通読すれば正しいと考えられる心情でも、切り取られた範囲内だけでは読み取れず、範囲外の内容を含めて答えをつくって根拠なしとなり×になることもあります。一方で、思い込みの激しい子は「文章知ってる!」という意識がプラスに働き、ほかの子よりも有利だと思い込むことで予想外の力を発揮することもあります。
で、結論。入試に出やすい作品は読みましょう。ただし、思い込みの激しい子、読解力が微妙な子については、その本の内容を正しく理解しているか、確認する質問をしてください。そして、どの子も、入試で知っている文章が出た場合、記憶は曖昧になるので思い込みで読まないこと、引用範囲外の内容については一切考えずに前書きと引用文だけをもとに問題を解くこと。これらをしっかりたたきこんでください。それができれば、入試に出やすい作品を読むメリットを生かせます。