うさぎは一匹? 一羽?

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

ものの数え方で、最も多い質問。

それはうさぎの数え方。国語では「羽(わ)」と教わることがあるのに、算数の教科書では「匹(ひき)」で統一されているからなんですが。

これ、どちらが正しいのか、聞かれることがとても多いんです。

正解は「『羽』でもよいが『匹』のほうが適当」。(「二兎を追う者は一兎をも得ず」の「兎」は「二匹の兎(うさぎ)」から、「兎」も単位とかんちがいする生徒がいるのですが、「一兎」「二兎」は「一匹の兎」「二匹の兎」という意味なので、単位を表しているわけではありません。)

教材や教科書をつくるときに基準として用いる本はいくつかあるのですが、そこに「『羽』でもよいが『匹』のほうが適当」とする根拠が明記されています。

算数の教科書では、子どもの学習への配慮です。算数の学習中に「なんでうさぎだけ『わ』なの?」なんて考えてしまうと学習上子どもの負担になりますから。

もともとに日本人はすべての動物を「匹」で数えていたんです。たとえば、1500年代後半から1600年代前半成立とされているイソップ物語を翻訳した「伊曾保物語」には「牛と蛙の事」の中に「ある川のほとりに、牛一匹、ここかしこへゑじきを求め歩きはべりしに……」とあります。動物の種類によって数え方を変えたのは実は明治以降の話。

ちなみにうさぎの数え方が入試で出ることはまずないと思って問題ないです。もし出たとして、ひらがな一字の指定があれば、「わ」にすればいい。ひらがな二字なら「ひき」にすればいい。漢字一字なら正解が二つ出てしまうので、問題としてどうかと思いますし、そんなことはしないでしょう。

 

しかし、不思議なのは、なぜうさぎの数え方にやたらこだわるのか?  たこ・いかにだって「匹」のほかに「杯」があるのに……。