閑話 和歌は珍解答の宝庫
こんにちは。
大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。
今年は中高一貫校生が例年よりも多く、学校も学年も違うのですが、百人一首の宿題が出ているところが多い。三年間通して百人一首を扱う学校もありますしね。
生徒の珍質問・珍解答の宝庫の古文。なかでも和歌はダントツ。
「なあ、アサシンって何?」と聞かれたある日の授業。
アサシン? assassin? 暗殺者? 『マインドアサシン』ってマンガあったな~、じゃなくて、いやいや、assassinは英語。いまやってるの和歌だし。なんのこっちゃ? としばし沈黙。
「ざいはらなんとかのあさしんってあるやん」
ざいはら…。在原? 在原業平か! と、ここでピンときた。
あさしん➡朝+臣➡朝臣(あそん)だと……。
「わたの原八十島かけてこぎ出でぬと人には告げよ海人のつりぶね」で、「わたのはら? わた? 蚕?」と言った生徒もいた。蚕は絹。いや、「わたの原」は大海原って意味で……。
「陸奥のしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにしわれならなくに」(陸奥で織られるしのぶもじずりの摺り衣の模様のように、私の心が乱れるのは、いったい誰のせいなのでしょう。わたしのせいではないのです(あなたのせいなのですよ)」の歌の意味を書かせたら、「陸奥が乱れたのはお前のせいだ」という解答も……。
恋の歌がなんだか政治的な歌になってるのだが……。
風流とかわびさびとかなんかがすべてふっとぶ。
古文の授業は現代文の授業より気力がいる。そして普段使わない脳の部分を使う気がする。