灘中学入試問題雑感

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

 30年度中学入試、5名中4名が第一志望校に合格しました。第一志望校の合格率は2~3割と言われていますが、よくがんばってくれたな~と思います。

今年は灘・甲陽・東大寺・西大和・洛南受験組がいないので、比較的早く入試が終わった感じでした。

2日入試の灘・甲陽に、入試日が2日目以降の東大寺・西大和・洛南受験組がいると入試期間の疲れ方が違います。

さて、今年の灘1日目。

沢木耕太郎『銀河を渡る』が出題されました。この本、実は私持っています。模試の素材文で使おうかと思い、買っていたんです。好きなんです、沢木耕太郎さんの文章が。一時期、彼の『深夜特急』が入試で多発しましたが、『深夜特急』は仕事抜きで好きな作品でした。とはいえ、やはりひじょうに問題が作りやすいので……。

『銀河を渡る』は五部構成のエッセイですが、使用されたのは第三部「キャラヴァンは進む」の中にある「すべて眼に見えるように」からの引用です。作文問題は、筆者が「夏休みの思い出」という題の作文をうまく書けないでいる小学生の自分にこんなふうに聞くだろうなと想像している部分。筆者は小学生の自分にいろいろ質問し、小学生の自分が答えた単語を書き取らせる。その書き取らせた単語8つを使って作文をするというもの。

この問題、生徒の表現力や思考力・文章構成力を見ることができるとともに、採点効率・採点精度を一定に保つ問題になっているような気がしました。はじめと終わりで使う語句を指定しているものの、残り6つはどの順で使おうが自由。最近よく見かけるようになった文章の後の展開を書かせる形の作文よりも自由度がある。文章の後の展開を書かせる問題は文章内容を踏まえたうえで答えるものなので、解答の方向性は決まりますからね。

作文や記述問題の作成でいちばん苦労するのが実は採点基準の作成。公正に、迅速に、正確に採点できるようにするためには解答にある程度方向性を持たせる必要がある。でもそれをやりすぎると、誘導的になってしまう。オリジナリティが見られなくなる。でも、今回の灘の問題はそのあたりのバランスがうまく取れている問題だな~と思いました。(なんだか上から目線ですみません。)

ちなみに、灘を取り上げたのは生徒が受験したからでも、作文の出題がめずらしかったからでもなく、単純に好きな作家さんの素材文が使われていたからです。しかも手元にある本ですから!

で、この素材文で気づいたのですが、灘は入試問題を秋以降に作成するんですね。この『銀河を渡る』は2018年9月25日に刊行されているんです。

私が入試問題を作ったときは、早いところは3月あたりから素材文選定、遅いところでも夏前には素材文を決めていました。(入試問題は学内で作るところもあれば、外注するところもあります。外注の場合も学校の先生の厳しいチェックが入ります。)

灘の先生方、中間テストや行事が多い2学期に作成って、たいへん……。