ダイバーシティと素材文
ダイバーシティというと、「女性活用」がまっさきに頭に浮かぶ人もいるようですが、
本来は「多様性」を指す言葉であり、女性の積極的活用のみを指しているわけではありません。
ダイバーシティは「Diversity and Inclusion(多様性の受容)」の略で、
多様性を尊重して受け入れ、理解することです。
ここでの多様性とは、性別、障がい、国籍、生活様式、思想、宗教、価値観などを意味しています。
これらが、入試の素材文にも影響しています。
子どもには理解しにくいバックグラウンドの話などが入試の素材文では使われます。
たとえば、
ステップファミリー
時代小説(江戸時代など時代背景が古いもの)
古典作品の現代語版
心理学や哲学的文章
……
ここ2~3年は恋愛ものも増えていますし、ファンタジーも出題されています。
主人公が動物というのもありますね。
自分にはないもの、なじみのないもの、経験したことがないものについて、
抵抗を感じることなくそのまま受け入れ、理解する力が求められます。
多様性をすんなりと受け入れることは、成長するにしたがい、難しくなることがあります。
しかし、現代社会で生きていくうえで、多様性を知り、受け入れることは不可欠です。
(多様性を受け入れるということは、多様性の存在を知ったうえでそれを受け入れない、
という価値観も含まれるように個人的には思いますが、これは入試ではなしですね。
これを言ってしまうと、不成立になるものが生まれてしまいますから。)
「なじみのない内容や文章になると解けないんです」
という声を保護者の方からよく聞きます。
でも、実際、なじみのある内容や文章のほうが入試では少ないのではないでしょうか。
特に論説文では。
なじみがなくても書かれていることを文脈に沿って読み、理解することができればいいのです。
なじみのない文章になると解けなくなる生徒さんの大半は意識が邪魔しているだけです。
「わからない!」と思った瞬間、本来わかるものでもわからなくなることは多々あります。
では、このような文章が出たときにどうしたらいいのか。
基本は何も変わりません。
文章に書かれていることを正確にたどり、「わからない。理解できない」という意識を捨て、
その文章の中で書かれていることをそのまま受け取り、文脈に沿って理解すればいいのです。
自分ならどう思うかというものは、作文では必要ですが、通常の読解問題では基本的に不要です。
そして、日頃から次のようなことを意識してみることをおすすめします。
一つのテーマに対して、様々な見方があることを知ること。
すべてが善悪や正しい正しくないといった白黒はっきりしたものばかりではないことを知ること。
白黒はっきりしたものについて、あえていずれでもない立場で物事を考えてみること。
自分の意見と反対の意見を考え、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるかを考えてみること。
これを小学生が一人で行うのは難しいと思いますから、保護者の方が質問をし、
それに答えてもらう形で進めるといいと思います。
(中学生以上であれば、一人でできる人もいるでしょう。)
このような練習は論理的に考える力の養成にもつながります。