読解力低下―リーディングスキルテストの結果から

今朝、こんなニュースを目にしました。数日前にも同じテストの結果から中学生の5人に1人が主語と目的語を読み取れないという記事を目にして、う~ん、まあ、納得と思ったところですが、今日の記事はよりはっきりと数値を出していたため、納得というより、厳しいな~とどんよりとした気持ちにさせられました。

教科書の文章、理解できる? 中高生の読解力がピンチ

国立情報学研究所社会共有知研究センターの新井紀子センター長らが開発した小中高生の基礎読解力を測る試験法「リーディングスキルテスト」。中高生を中心に無作為に出題し、全国で約2万4千人が受験。この中のある問題における中学生と高校生の正答率は12%。高校生で28%。その問題とは、「メジャーリーグ選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の選手であるが、その出身国を見ると、ドミニカ共和国が最も多くおよそ35%である。」というもの。「メジャーリーグ選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の選手である」=「メジャーリーグ選手のうち72%はアメリカ合衆国の選手である」ということが読み取れれば解けるもの。しかし、これがわからない。この結果を見ると、2020年の大学入学共通テスト国語記述問題の平均点はどうなるのだろうか? と恐ろしくなります。また、私は都道府県の公立高校入試対策の模試や作文・小論文教材も作っていますが、ある都道府県の対策模試を作ったときにグラフや資料の内容を読み取り、作文を書く問題の正答率が予想より低くなったり、教材で作った問題のレベルが難しすぎると指摘が入ったりすることに妙に納得してしまいました。公立中学3年生と中学受験生を比較すると、中学受験生のほうが、こういった力はあるなというのは感じていますが、それでも私が思っている以上に低いのかもしれない。

中学受験をする生徒の場合、「「リーディングスキルテスト」のような問題は小学校3年生くらいから学習します。小学校3年生程度であるなら、「10問中全問正解できなかった生徒は4人」という文章があり、選択肢で「全問正解した生徒は半分以上である。」という形で出題されます。このレベルから始まり、小学校6年生まで徐々にレベルを上げて高度な内容まで進みます。こういった練習を数年間定期的に行っている子と行っていない子では、力に差がついていきます。とはいっても、漠然と塾の問題を解き、そのままにしていたらなかなか力はつきません。正解しても間違えてもどうしてその答えを導き出したのかを確認し、なぜ正解できたのか、なぜ間違えたのかを明らかにする。どういう考え方をして間違えたのか、何を根拠にして間違えたのかを、簡単に答える質問を用いて明らかにしていく。正解に至る過程を質問形式で生徒本人に考えさせ、理解させていく。そうするなら、読解力と思考力を鍛えることができます。塾に行っていなくても、学校の教科書を読みながらこういった質問をしてみる、ニュースなどを見たときにこういった質問をしてみることで、日常的に読解力や思考力を鍛えることができます。