聴覚情報と文字情報の視覚化を!

今の生徒は視覚情報を理解する力は優れているが、聴覚情報を理解する力が落ちていると感じていました。そして、文字情報を理解する力も落ちていると。
 
仕事がら大学の教授や講師の方と話しをする機会があるのですが、あちこちで同様の話を聞きます。中堅大学の話ではなく、旧帝大レベルでの話です。
 
講義を聞いてipadやスマホ、PCで入力してまとめていくのは優秀な学生。ノートの代わりに活用しているのだから何ら問題ない。
でも、圧倒的に多いのは、板書は取らずスマホで撮影する学生。講義内容を理解しようとしないのか、できないのか。
「今の話を書いてください」という学生もいるそうです。聞いた話を理解できていない学生は板書を撮影したところで理解はできないだろうなと思うのですが。
 
視覚情報が優れているのは、漫画や、動画などの映像の影響かもしれません。漫画は文字がありますし、映像は音がありますが、文字や音を理解しきれなくても絵や映像である程度理解できてしまうので、文字や音はあまり重視されなくなります。それは、小さな子どもを見ればわかるのではないでしょうか。言葉の意味がわかっているはずがないのに、動画やアニメを見て笑ったりしていますよね。決して漫画や映像がいけないということではありません。学習に利用できると思っています。理科の実験動画とか面白いですから。ただ、それが優位になりすぎるのが問題だと思うのです。視覚に頼りすぎると、考える作業がどうしても減ります。
 
また、視覚だよりになるとコミュニケーションに支障を来します。コミュニケーションの中心は、聴覚情報です。視覚情報に人は騙されやすいのですが、聴覚情報を理解する力が弱いと、目に見えているものだけで判断しがちになります。人は表情を作るのは容易ですが、表情に表れない感情は言葉のちょっとした言い回しや声色に表れます。視覚優位でコミュニケーションを行うと、相手の本心を捉えられなくなります。
 
生徒のタイプと指導時期にもよりますが、聴覚情報と文字情報を視覚化できるように指導することがあります。授業で説明した内容や文章を絵に描かせるのです。視覚優位の子にとって、視覚情報を言語化するのは難しく音を上げてしまうこがとても多いのですが、聴覚と文字による言語情報を視覚化するのは、生徒も負担をさほど感じることがありません。そして、こちらもその子の理解度を一目で確認できるだけでなく、その子自身の理解を促すこともできるのです。
 
後者の文章を視覚化させることはご家庭でも気軽にできて、かつ理解度を確認するのに役立ちます。
絵に描かせると、文章を理解できているかできていないかが一目瞭然です。小5の夏あたりまでの説明文は、動物や天体、植物など具体的なものが多いのでこの時期は生徒も楽しみながらできるのでいい時期です。具体的な内容を図式化できる子は、抽象的な内容になってもイメージ化しやすいように感じています。物語なら、時間・場所・人物関係、部屋の様子、そういったものを絵に描かせると理解度が明確にわかります。そしてこれを繰り返していると、文章を読んで頭の中で絵にすることができるようになってきます。すると、内容を深く性格に理解できるようになってきます。イメージすることで、あれ? これはおかしいな、と自分で自分の考え違いに気づけるようにもなるのです。
 
小4の生徒で、物語が苦手な生徒がいました。絵に描かせたところ、登場人物より描いた人数が多い。主人公の呼び方が三通りあって、同一人物だと認識できていないことがわかりました。また、主人公とその友だちの話に上った人物を登場人物として捉え、勘違いをしていたこともわかりました。質問をしていく中でどこからわからなくなっているのかを確認することはよく行いますが、あまりに話がわかっていないと感じる場合は、絵に描かせるとすぐにわかります。
 
読解ができないと感じられるなら、絵に描かせていくと、つまずきの原因を見つけやすくなります。
 
 
そして、この文字情報の視覚化ができると、国語だけでなく算数もできるようになってきます。