新小1生(小2生~中学生も)が悩む漢字のトメ・ハネ・ハライ

漢字のトメ・ハネ・ハライ。

これは小学校の漢字書き取り練習や漢字テストではとても厳密にチェックされます。そして、保護者の方、生徒さんからの質問も多い。トメをハネたからやりなおしなんてこともありますし、ハライをトメたからバツなんてこともあります。中学受験でも比較的厳密ですが、学校によりけりです。でも、中学受験指導現場では、厳しい場合を基準にして模試でも厳密にチェックされることが多いです。

しかし、国はそんなことはまったく指示していないんですね。文化庁は手書き書体について許容を示しており、2年ほど前からちょこちょこニュースでも取り上げられています。でも、これ、ずっと国語教育に関わっている人間としては、何をいまさら騒いでいるのだろう? という感覚なんですね。だって、文化庁のこの方針、何十年も前から変わっていないのですから。つまり、トメ・ハネ・ハライを厳密に守れとは一言も文化庁は言っていないのです。

この点については、こんな書籍が発売されています。

「常用漢字表の字体・字形に関する指針」(http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/joyokanjihyo_shosekikanko.html)

これは、私も模試の採点基準作成時に使用しています。たとえば、神奈川県の公立高校入試では、文化庁の基準が記されているのです。神奈川県公立高校入試の採点基準には、「字体については、平成二十二年十一月三十日内閣告示第二号『常用漢字表』によること。あとに、それに基づく許容例を示す。『常用漢字表』は、以下の文化庁ホームページからダウンロードできる。http://www.bunka.go.jp」とあるんですね。

誤解しないでいただきたいのは、文化庁はこのような許容を示すことでていねいに書かなくてもいいよ、と言っているということではありません。漢字のトメ・ハネ・ハライは漢字の字体・骨格そのものに影響せず、漢字の正誤に影響しないよ、ということを言っているのです。ところが、学校現場ではそれが浸透していない。トメ・ハネ・ハライを厳密に守らなければいけない根拠はそもそもないのにです。そして、それにしたがって、塾でも指導されます。

とても悩ましい。

では、保護者の方はどう対応したらいいか。私自身、ものすごく腑に落ちないのですが、基本は学校の先生の言うとおりにしておきましょう。。。長い物には巻かれろというのをすすめているようでもやもやはするのですが、現状を踏まえたらしかたがない。

だいたい、教科書によっても字体は異なるんです。国語の教科書は小中ともに5社ありますが、すべてが同じではありません。兄弟・姉妹で別の学校に通われていて教科書の字体がちがうこともあります。1つの漢字に2種類の形があったりするのに、トメ・ハネ・ハライは厳密ってなんのこだわりなんだろう? と思いますが、しかたない。。。

こんなことを書いてはいますが、学校教育を否定しているわけではありません。ただ、もっと文化庁、これを学校にアピールしてください! とは思います。そうすることで、ハライがトメになっていたから漢字練習10回やりなおし! なんていうむだな宿題がなくなってくれたらな~と思うのです。