夏期講習前にすべきこと

こんばんは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

ちょっと長い記事になります。

今週は6月の模試の結果が戻ってくる塾も多いですね。

6月の模試は成績変動が起きやすい時期でもあります。修学旅行や学校行事、プールなどで学習習慣が乱れるとおそろしいほど成績が低下します。逆にこの時期きっちり頑張った子は驚異的に伸びます。

6月。だれまくってしまい成績が大きく低下したなら、夏期講習前までに必ずやったほうがいいことがあります。特に成績が下がった人は今すぐ行って7月の模試に備えましょう。

それは、これまでに受けた模試の質の分析です。模試が返却され、偏差値や点数を気にする人は多いものですが、その質の分析ってしていますか?

なぜ質の確認が必要なのか。それは自分に足りない力を明確にするためです。特に受験生は、この時期に志望校合格に必要な力がどの程度身についていて、合格までに必要な力は何かを正確に把握しなければなりません。

AさんとBさんの二人の生徒の成績がいずれも80点としましょう。同じ得点・同じ偏差値です。いずれも合格ラインに達しているから二人とも受かる! と思いますか? 模試の判定は二人とも同じになるでしょう。でも、志望校によってその判定はまったくあてにならなくなることもあります。過去問になるとまったく点が取れないという人は特に注意が必要です。

記述が多い学校を受験するAさんとBさん。

Aさんは、選択問題では高得点。でも記述はほとんど得点できません。Bさんは、選択問題での失点はAさんより多い。でも記述はほとんど満点。どちらの合格可能性が高いかはわかりますよね?

模試の質の分析をすると、成績が伸びていると思っていても、志望校の傾向を見たときに実は力が全然足りていない! ということがわかる場合があります。反対に成績が伸びていないと単純に点数と偏差値だけで落ち込んでいる人が、そんなに落ち込むほど成績が伸びていないわけでもない! ということがわかる場合もあります。

それでは分析方法です。ここでは、あくまで自分で確認できる範囲にとどめています。もっと詳細が知りたいという人は、塾の先生や家庭教師の先生にテスト結果をすべて見せて分析してもらいましょう。

具体的に見ていきましょう。

①一学期に受けた模試や塾内テストをすべて出します。

②問題用紙の上に答案用紙を並べて実施された順に並べます。

③漢字・文法・語句知識・読解の選択問題・読解の記述問題ごとに点数を表にしていきましょう。それぞれの配点、自分の点数を出していきます。自分の点数を配点で割って100を掛け、得点率を出しましょう。

④得点率に波のある単元、下降している単元に青マーカーを引きます。これは夏休み中に強化すべき単元です。

⑤得点率が上昇している単元にピンクのマーカーを引きます。こちらはたとえ総得点が下がっていても、力がついている証拠です。より得点できるように学習しましょう。

以下の表は、実際に私が生徒に渡していたものです。もちろん、これは実在の生徒のものではありません。遠い昔にこれとよく似た成績推移をした生徒がいたので、参考に作成したものです。たいていの模試では小問ごとに正答率が出ていたり、ていねいに解き直しの優先度まで示してくれているものもあるのですが、見方がよくわからないという生徒さんが多いのと細かすぎてどの程度できているのかよくわからないという声が多かったため作りました。

この表を例に分析と対策を説明します。

表を見ると、国語の成績は伸び悩んでいます。しかし、読解の記述は得点が伸びています。基礎的な読解力と記述力はついてきているんですね。でも選択問題の点数が安定していない。基礎力はついてきているけれど定着までいっていない、一定レベル以上の問題でつまずいているなどの可能性を考えます。すると、指示語が絡んでいる選択肢が弱いとか、主語が省略されている文が集中しているところで誤読するとか、弱いところがよりはっきりわかりますからその点を意識して、選択問題を重点的に解いていきます。解くときに消去法ではなく、答えの根拠を明確にして答えていくと力がつきます。

また、漢字や文法、語句は知識にむらがあるとわかるので、このむらを埋めていきます。得点率が低かった文法単元を復習したり、漢字力、語彙力の強化を行います。

上記のような作業を夏休み明けの模試でも行い、力が足りない分野を確認しましょう。

このように自分で分析し、自分で課題を見つけていくことで、単なる学力以上の力をつけることができます。もちろん表の作成は保護者の方がされても、保護者の方と一緒に行ってもかまいません。でも、どこが弱いかの分析だけは自分で考えるようにしましょう。どうしてもわからなければ保護者の方が手を貸してあげてください。

こんなことをする時間が取れない! という人もいると思いますが、できるかぎり頑張ってみましょう。成績を本気で上げて志望校に受かりたいなら、試してみてください。