テストで時間切れを防ぐために

こんにちは。

大阪・神戸・京都の国語専門家庭教師住吉那巳枝です。

テストのたびに時間切れになる。読むスピードが遅い。

こういった悩みを抱えている生徒さんは多いと思います。読むスピードが遅いから速読を習わせよう! と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的に行われている速読術を習得する必要はありません。(速読を否定しているわけではありません。速読時に行う一部の訓練は読解力向上に役立ちます。しかし、速読にはデメリットもあるため、注意が必要なのです。そして速読で目標とするほどの字数で読む必要もないのです。)

入試問題の国語の文章の字数は学校により幅があります。関東では素材文の総字数が1万数千字の学校も多いですが、関西ではそこまではいきません。7000字から10000字以内に収まるところが多いすです。大問1つあたり、2500字~6000字と幅はありますが、トータルで7000字~10000字以内に収まると考えてください。もちろん7000字を切るところもあります。

子どもが1分間に読める字数はだいたい400字~600字と言われています。私は指導時に、文章の字数を計算して読み終わるまでの時間を見ていますが、だいたい時間切れを起こす生徒は6年生だと1分間の字数が500字未満、小5では400字未満、小4では320字未満程度であることが多いです。時間に余裕をもつためには1分間に最低でも500字以上、できれば600字~650字を目標に読むのがいいでしょう。

この速度は速読習うほどのものではありません。ポイントを押さえて読めば達成できる速度です。

そのポイントは、主に以下の四つです。

①声を出さずに唇のみを動かし、呟くように読む。

②目の動きを速くしすぎない。

③わからない意味の言葉があっても止まらない。しるしのみをつけておき、問題に関係する言葉であるなら、問題を解くときに文脈から意味を推測する。

④語彙力の強化。

 

①は、音読と黙読の両方のメリットを生かせます。特に、音読に慣れているお子さんは頭の中で声を出して読んでいます。すると、どうしても読む速度は落ちます。かといって、いきなり黙読に切り替えるのは難しい。その場合は、唇だけ動かして読むようにしてみましょう。この読み方をすると、理解しにくい箇所の理解にも役立ちます。私たち大人も文章を読んでいてわかりにくいところがある場合、小声で読んだりつぶやくように読むことはありませんか? それと同じです。

②は、緊張しがち、時間切れを恐れて焦りがちな子に効果があります。手と目の動きが合っていない、えんぴつで追っている文章の部分よりも目の位置のほうが先に進んでしまい合わなくなっている、理解できていないのに先へ先へと目だけ進めて読んでしまう。すべて時間を意識しすぎてあせってしまうことが原因です。これをしていると、理解しにくい部分では前に戻って読むためとても時間がかかります。理解していないのに先に読むため意味がわからなくなる、文章を読み切れていないのに目だけ先にいくため飛ばし読みをする。すると「あれ? なんだっけ?」となり、また前に戻る。これを繰り返していると読む速度は一気に落ちます。これは、音読をさせるとすぐにわかります。口の動きよりも目の動きのほうが先になっていて戻って読むことがとても多いのです。読めていないのに目を先に動かすのをやめるだけで、読む速度は確実に上がります。

③は語彙力が弱い子に多いのですが、問題を解くのに何の影響もない言葉にとらわれて止まってしまい、時間をロスするということがあります。もちろん問題に関わる言葉がわからない場合もあるでしょう。でも、わからない言葉で止まると必要以上に時間を取られます。ですから、わからない言葉にはいったんしるしをつけてすべて読み切りましょう。そして、問題を解くときにわからない言葉が入っている部分が解答の根拠と関わっているなら、文脈から意味を推測するようにしましょう。それでもわからなければ、その問題はいったん捨ててもいいのです。解ける問題で確実に点を取り、復習のときに言葉の意味を確認しましょう。

④については、これは時間がかかりますから、地道な努力が必要なので後日書きたいと思います。

①~③はすぐに実行でき、効果もありますからぜひ試してみてください。